これまで述べてきましたようにリリース後の攪乱要因が大きいボウリングにおいては、完璧無比のシューティングマシンをもってしても同一のボール軌道にすることはできません。毎回異なる軌道を描きますので、もしストライクとなる軌道が針の一点くらいだとするとこれは至難の業であると言えます。しかし、ストライクは比較的簡単に出ます。
そこで先ずは、どうしたらストライクを出せるかといったことを見ていきましょう。
皆様もお聞きになったことがあるかとは思いますが、パーフェクトストライク理論というのがあります。それは板目17.5枚目(ポケット)に入射角3〜6度でボールがヒットすると確実にストライクになるというもので、実験で得られた結果だとされています。
それからパーフェクトストライク理論から外れても(ポケットに厚めに入ったり、薄目に入ったり、入射角が大きかったり小さかったり)ストライクになることがあります。 その他、ブルックリン(いわゆる裏ポケット)でストライクになるものやポケットは外れたけれどもピンアクションが良くてストライクになることもあります。稀にはピンが跳ね返ったり、ころころと転がってピンを倒してくれるなどといったこともあります。これらは先のパーフェクトストライクではなく偶々運よくストライクになったということです。
このようにストライクとなるには必然性と偶然性があるのです。この幅の間にボールの軌跡を持って行ければストライクになると言えますし、この幅の間に入るどころか全く外してしまってもストライクになる可能性があります。だから、投げ手がミスをしてもストライクになるし、オイルなどの攪乱要因があってもストライクになります。ただし、ストライクとなる確率は低くなると思いますが・・・。
私的にはパーフェクトストライク理論の実験結果に対して若干の疑問が残ります。と言うのは調べた限りでは、どのような環境や条件で実験された結果かが不明だからです。例えば、ボールの速度や回転軸、回転速度などを条件を変えて得られたのかとか、ピンについても個々のピンの形状、重量、重心位置(密度分布)などが異なるでしょう。これがランダムに並べられたものなのか、そしてピンが立っている位置が正確かどうかという点が大いに気になります。特にピンがセットされている位置については結構ズレる(規定では許容範囲に入っていればOK)ことが多くあります。ですから実際ボウリングしていて、これは完璧にストライクと思っても思わぬピンが残ってしまうことが良くあります。言わんとすることは、パーフェクトストライク理論に合致していてもストライクにならないこともあるのではないかということです。
このようにストライクとなるには針の穴を通すようなコントロールが必要になるという訳ではありません。逆にどんなにコントロールが良くてもストライクにならないこともあります。
更に言えば、何故にパーフェクトゲームを達成できるでしょうか。オイルの変化を読んでそれに応じた修正を施して投球しているからなのでしょうか。それは事実上不可能なことです。多くの物理的な条件を加味して計算し、毎回それに応じた完璧な投球を12回連続して行うことなど果たして出来るでしょうか。しかし、パーフェクトゲームはそれこそ、毎日のようにどこかのボウリング場で達成されていることでしょう。私の廻りを見回してみるともう何回も達成した人もいらっしゃいますし、ボウリングを始めて3ヶ月で達成した方もいらっしゃいます。私のように10年位の経験者でアベレージがそこそこ高い(180台以上)方で未だ達成していない方はほんの数えるくらいになりました。
いずれにしてもストライクになるかならないかは偶然性に左右されるのです。であれば割り切って投球技術がある程度に達したならば、攪乱要因に如何にして対処するかということに注力した方が良さそうに思えます。いくら努力して技量を磨いてもシューティングマシンには敵わないのだから、ほどほどのレベルに達したならばそれで十分だと割り切った方がなんぼか楽になります。若くて才能があれば技量を高くする努力はすべきでしょうが、私のような年寄り(68歳)で運動音痴ともなると努力に応じた技量の向上は望むべくもありません。下手をすれば故障してしまうことにもなりかねません。ただでさえ手首、肘、腰、膝などが痛んでいるのですから、出来るだけそこいらにストレスが掛からないような投球を心掛けねばならないのです。おそらく身に付けた技量を維持することが精一杯だと思います。
といったものの、投球技量に関して言えば、高ければ高い方が良いに決まっています。それはオイルを読む際、投げてみた結果で予想するしかありません。そのような時、毎回違った投球になってしまったら比較対象が困難になってしまうことから判断がより難しくなってしまうことは明らかでしょう。この意味からも、一定以上の投球技量が必要となります。
がしかし、一定以下では駄目かと言うとそうでもなく、ハイスコアを出す確率が低下するというに過ぎません。もしかしたらマイボールを手にしたその日に200アップできる可能性だって否定できません。だからと言って複数ゲームのアベレージを200アップとすることは限りなくゼロに近いものとなるでしょう。
投球技量がそこそこでもハイスコアが出ることがあります。であるからこそボウリングは面白いと言えるのです。
ここまではストライクを中心にボウリングの魅力を述べてきましたが、ボウリングの面白さはストライクだけではありません。
続きは次回以降にしたいと思います。
<参 考>